Figure AIが90分に1台のペースでヒューマノイドロボットを製造

ロボット労働力の実現に向けた熾烈なレースにおいて、Figure AIが「ジェットパック」を背負って一気に加速した。先日、YouTube番組『Shawn Ryan Show』で行われた率直なウォークスルーの中で、同社は現在、わずか90分で人型ロボット1体を完全に組み立てられる能力を有していることを明らかにした。これは遠い未来の予測ではない。ラインが稼働している現在の実力であり、今後10年以内に年間100万台という途方もないスケールまで拡大する野心的な計画の一部だ。この数字の重みを考えてみてほしい。我々は今、人型ロボットが「一品モノの科学実験」だったフェーズを脱し、ついに「量産ライン」の時代へと足を踏み入れたのだ。

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この製造ラッシュの主役となるロボットは、身長約167cm(5フィート6インチ)、体重約61kg(135ポンド)で、1回の充電で4〜5時間の稼働が可能だ。バッテリーが切れると、充電パッドの上に立つだけで足の裏から約2キロワットの電力をワイヤレスで吸い上げ、約1時間でフルチャージが完了する。歩行やバランス維持、複雑な操作に至るまで、すべての動きは**Figure独自のニューラルネットワーク「Helix」**によって制御されており、そこには従来のような「手書きのコード」は一切存在しない。耐久性について問われたFigureの担当者は、「転倒して首が折れることもあれば、無傷なこともある」と、驚くほど率直にその現状を語っている。

この圧倒的な生産能力は、単なる見せしめではない。Figure AIはすでに、自動車製造のBMWや、物流・不動産大手のBrookfieldといった巨人たちと商業契約を締結している。さらに、今後60日以内に、新たに2つの大口顧客との提携を発表することも示唆した。ロボットにはカメラと触覚センサーを内蔵した第5世代の「手」が備わっており、安全性に配慮して機体は柔らかいフォーム材で覆われている。また、工具なしで着脱可能な「外装(服)」を採用するなど、メンテナンス性も極めて高い。

なぜこれが重要なのか?

ロボティクスにおける最大のボトルネックは、これまで常に「ロボットそのもの」ではなく、「ロボットを作る工場」にあった。競合他社が華やかなデモンストレーションに終始する中、Figureは「生産のスケールアップ」に照準を合わせている。1体90分というビルドタイムは、汎用ロボットの経済性と普及のハードルを根本から変えるゲームチェンジャーだ。これは、高コストなプロトタイプを丹念に作り上げる手法から、標準化されたプラットフォームを大量生産する手法への戦略的な転換を意味している。

明示的なプログラミングではなく「学習」するAIファーストの制御システムと、この量産体制。これらを組み合わせたFigureの試みは、単に優れたロボットを作ろうとしているのではない。彼らはヒューマノイド界の**「T型フォード」**を生み出そうとしているのだ。もはやレースの焦点は「誰が最も機敏なロボットを作るか」ではなく、「誰が数千、数万単位で製造し、現場に投入できるか」というフェーズへと移っている。